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晴のち雨のちキス【実l況l者/短編集】

第9章 Not everlasting /ky


しばらく歩くとカップルの声が聞こえなくなった
私たちの会話も段々と途切れていく

砂を踏みしめる音と波の音だけが夜の闇に響く

「あのさ…。」

沈黙を破ったのはキヨ
いつになく真剣な顔付きで
視線は遠く暗い海を見つめたまま

またいつもとは違う顔…
今日会ってから幾度となく感じる違和感

「この前の話、本気?」

きっと一週間前にした話のこと
あぁついに、と確信する

期待した台詞を言ってくれるだろうか

覚悟を決めて、そうだよ、と返す

「あれから考えたんだけど…
俺たち…





会うのやめよう。」

「…うん。」

「つばさのこと、
ほんとに好きだった。」

「…うん。わかってる。」

月明かりに照らされたキヨの頬は濡れていて
胸をえぐられるような痛みが走る

その瞳から流れるものは
きっと純粋で
今の私には美しすぎる

「つばさ…、」

キヨは私の手を取って濡れた頰に押し付けると
そのまま掌にキスをする

「結婚、おめでとう…。」

私の手を握ったまま、また涙を流す


私はなんてずるくて残酷なんだろう
気持ちを知っていながら
側においた

彼氏では埋められないところを
キヨで補って
ダメだと思いながらも甘えて

気付いた時には二年間も縛っていた

最低な私には、キヨは綺麗すぎるから
嘘を吐いてでも離れるしかないんだ

この罪には孤独という罰を与えるしかないんだ


こんな私を好きになってくれてありがとう
気付くのが遅くなったけど



私も大好きだよ



もし何年か経って
この罪が薄れることがあるなら
また私を見つけてくれるなら
その時は





違う景色で
あなたと海が見たい
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