• テキストサイズ

僕らの時間【気象系BL小説】

第8章 素晴らしき世界 M×N



「来週はテスト期間だから部活は無し。みんなテスト頑張れよ〜」

部活の終わりに、顧問からそう話があった。

そうだった。

忘れてたよ、部活が無いこと。

部活が無かったら、土手にいるあの人の姿を見ることができないじゃないか。

それがなんだかさみしく思った。



翌週になって。

俺はテスト期間中の下校時は、学校から1駅分歩くことにした。

あの人がいるかもしれないってのもあるけど、土手から見える景色も好きだからだ。

いつもより早い下校時間。

あの人、いるかな…。

そんなことを思いながら正門を出て、土手のほうに向かった。


あ、いた…いたよ。

俺はドキドキしながらカバンの中に入れていたゴムボールを取り出した。

そのゴムボールをあの人のほうに向かって転がしてみる。

行け、行け、行け!

ちょっ、違うって。

そっちじゃないって。

俺、不器用だったっけ…?

進行方向から逸れたボールを拾い、再び転がすこと…数回。

ボールを拾う俺の後ろから、笑い声がした。


振り向くと、座りながらお腹を抱えて笑っているあの人。

そうか、今の失態を見られてたのか。

まいったな…。

恥ずかしくなって頭を掻いていると、あの人と目があった。

「くくくっ…アンタさ、面白いね」

初めて聞いたその人の声は、高くて力強くて。

俺の胸にストレートに入ってきたんだ。





/ 87ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp