第1章 零話
ーザザァ・・・
白い砂浜を海の塩水が濡らし、その海を赤く染め上げる夕日は実にロマンチックで、砂浜にあった流木に腰かけて眺めている男女二人の間には穏やかで柔らかい時間が流れていた。
おそらく付き合ったばかりなのであろう多少の距離感はあるが、それでも次第にお互いの距離を少しずつ縮めていった。
そして、周りが夕日によって真っ赤になると、どちらかがともなくお互いの指先に触れ、見つめ合い距離が近まる。
ついに触れ合う、その刹那。
「っ・・・」
寸前で顔をそむける女性。
そんな女性に少し落胆の表情を見せた男性はスッと気持ちを切り替え立ち上がる。
「さて・・・そろそろ暗くなってきたし、帰ろうか」
「あ、あの・・・私・・・」
必死そうな女性に大丈夫と男性は伝えると、座っている女性に手を差し出す
ーザザァ・・・