第5章 私立リアリン学園!序章
私立リアリン学園!序章
~始まり~
「お帰りなさいませ、ご主人様♪」
合言葉のように繰り返される、このセリフ。
そう、私は、メイド♪
ここは、メイドカフェ。
私のバイト先。
その名も、『メイドカフェ☆モエ~ル』
………と、ネーミングはすごいけど、萌え萌え重視というよりは、どちらかというと普通のカフェにメイド風の店員がいる、という感じ。
人通りの少ない路地にひっそりと佇む、中堅なメイドカフェ。
高校生の時、友達に誘われて、制服のかわいさにつられて始めたバイト。
辞めようと思った時も、何度かあったけど。
なんとなく、ズルズルと続けてきた。
たくさんの店がひしめき合う、賑やかな歓楽街。
昼夜問わず、街はいつも活気に溢れ、人々の表情も生き生きとして、明るくエネルギッシュだ。
ここは、昔から変わらない。ずっと見てきた景色。
この街で生まれ育ってきた。
私のありふれた日常が、ここにはある。
そう。きっと、ずっとここにいるだろうし、何も変わらない―――。
私の将来の夢は、学校の先生で。
これは、小さい頃から、ずっと変わっていない。
一生懸命、勉強して。
そこそこ、いい大学に合格して。
成績もずっと良くて。
教育実習も、なんなくこなして。
教員免許も取って。
大学卒業したら、晴れて先生に♪
今年、三月に大学卒業と同時に、このバイトも卒業だあ!
………と、思ってたのに。
それなのに。
現実は厳しかった。
卒業して、早、三ヶ月。
私は、今だにここにいる―――。