第11章 私立リアリン学園!2時間目~ノア~
私立リアリン学園!2時間目~ノア~
~二年一組 ノア=レオンハート~
「いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。はじめより我はと思ひ上がりたまへる御方がた、めざましきものにおとしめ嫉みたまふ………」
ここは、二年一組の教室。
ただ今、古典の授業中。
今日から紫式部の源氏物語を始める。
この学園には、様々な国出身の生徒がいるので、歴史や語学は選択科目となっているけれど、日本の古典は例外で、必修科目となっている。
古典は、私の専門教科。
初日にジル教頭に言われたように、全学年、全教科担当なので、古典以外を教える時間の方が圧倒的に多い。
なので、数少ない古典の授業は、ついつい、張りきってしまう。
この二年一組でも何度か授業をしているけれど、古典は今日が初日だ。
私は、少し緊張しながらも、教科書に沿って朗読をしている。
皆、静かに聞いているけれど。
ここにいる生徒の何人が、心から耳を傾けているだろう………。
私にとっては、ワクワクする古典だけど、退屈に感じられる生徒も多いだろうな。
そんな中―――。
チラリと。
私は、一番後ろの窓側の席に目を向ける。
そこには、机に突っ伏して寝ている生徒がいる―――。
ノア=レオンハート。
ま、彼だけでなく、他の生徒も眠そうなんだけど、ね………。
午後のこの時間は、私でさえあくびが出そうになるくらい、穏やかで。
窓から降り注ぐ日差しは、日に日に和らいではいるけど、まだまだ暑くて。
そんな中、大きな背中を丸めて眠っているノアのこの姿は、今日に限ったことではない。
ノアが起きてる時を見たことが、あっただろうか………?
いや、ない。
いつだって、ノアは寝ているばかりで。
そういえば、まともに顔を見たこともないかも―――。