第9章 私立リアリン学園!1時間目~ユーリ~
―――ダメ、やっぱり、ギブアップ!
退屈な冊子を投げ出して、鞄の中からスマホを取り出す。
メッセージあり、の点滅をタップする。
結衣からのLINEだ。
『初日はどう?今度ゆっくり話聞かせてね!』
いろいろ話したいけど………。
学園内のいかなる出来事も他言しない事。
そう言われたし。
とりあえず、ニッコリマークのスタンプを送って。
すぐ下のメイドカフェの友達の欄を開く。
『リリカちゃん、元気?塾の先生、頑張ってる?リリカちゃんは?って、いっぱいのお客さんに聞かれたよー。辞めちゃったって言ったら、皆、残念がってたヨ。ヒナもさびしいよおっ!今度モエモエパフェ食べに来てね!ヒナが魔法をかけてあげる!』
数週間前のヒナちゃんからのメッセージ。
その下に、私が送った、『ありがとう』のスタンプ。
学園に来る前に、一度はカフェに寄ろうと思っていたのに、慌ただしく毎日が過ぎてしまって結局行けずじまいだった。
メイドも楽しかったな………。
懐かしく思いながら。
私は、前に進んでる―――。
そう、実感した。
だからこそ、今を頑張らないと―――。
「あ」
そうこうしているうちに、下校時刻が迫ってきた。
うーん、と伸びをして。
よし、校内巡回に出発~っ!
じっと座っているより、動いた方がいい。
私は、軽い足取りで歩き始める。
校庭では、元気な掛け声とともにサッカーボールを追いかけている生徒達の姿が見える。
サッカー部かな。
頑張ってるなあ。
音楽室からは、合唱部の綺麗な歌声が響いてくる―――。
部活動の生徒は、担当教師が下校時間を決めているって、ジル教頭が言ってたっけ。
それ以外で残っている生徒に、帰りを促すようにとのことだけど。
どの教室にも、生徒の姿はない。
ちゃんと皆、規則を守ってるんだね。
私は、散歩気分で見回りを続けた。
※次ページより、情熱編<R18>となります