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【松】猫と六つ子

第10章 一松の苦悩



家に戻るとヒナが本を読んでるチョロ松兄さんのひざでのんびり眠っていた。
まったく……ほんとにのんきだな。

俺に気づくと近くに寄ってきたので、ひざに乗せてチョロ松兄さんに見えないようにしながらチャームに薬をいれた。
ヒナはお礼を言うようにニャーと鳴いて俺の頬に擦り寄ってきた。



そのせいで俺は昨日、人間のヒナに抱きつかれたことを思い出してしまった。
ひざに乗っているヒナが今、人間だったら……
隠している感情がムラムラと沸き上がる。



いやいやいやっ、考えるなっ!
やめろおおおっ!止まれっ、俺の妄想っ!!!



「ん?一松?」

俺の異変に気づき、チョロ松兄さんが話しかけてきた。
慌てて俺はヒナを降ろし、壁に頭を打ち付けた。
ヒナは呆然と俺のことを見つめる。



「何やってんの一松?!頭から血が出てるよ?!」

「……な、なんでもない……」

「いやいやいやっ、なんでもないわけないでしょ!?
昨日から変だよ?!」

そういえば、昨日もヒナのせいでチョロ松兄さんに恥をかいた。
一体、俺はここからどうやって生きていけばいいんだ?!



「一松、鼻からも出てる」

クッソッ!
俺のクズ人生もう終わってたわ……
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