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懲りない誕生日

第3章 夜這い








――結局、その日ナナシとのイチャイチャタイムが
皆無だったせいで、エルヴィンはなかなか眠る事が出来ず
ベッドの上で何度目かの寝返りを打った。

月明かりを頼りに時計を手繰り寄せて時間を確認すれば
午前二時を回ったところだった。


「・・・明日こそはナナシとイチャつけるだろうか・・・?」


ふぅ・・・と大きく溜息を吐き、目を閉じた瞬間、
部屋の扉が静かに開いた。

こんな時間に誰だ?と思ったが、眠れず暇だった為
すぐに諌めようとはせず様子を窺って狸寝入りをする。



・・・そう言えば、鍵をかけ忘れていたな。
ナナシが夜這いに来てくれたのだったら嬉しいが、
他の女性兵士が寝込みを襲ってきたなら面倒な事になるなと
心の中で思っていると、
入ってきた人物が足音を殺しながらベッドに近づいてきて、
エルヴィンの様子を窺っているのが気配でわかった。

ギシリとベッドの端に腰を降ろし、エルヴィンの眼前に
手を翳しているようで、エルヴィンが眠っているのか
確認しているようだった。


狸寝入りをしながら「誰だ?」と思っていたが、
次に聞こえた小さい声でそれが誰だか判明する。


「・・・エルヴィン?」


小さく囁くように聞こえたその声で、
入ってきたのはナナシだというのがわかり、
エルヴィンの全身が興奮したが、彼が何の為に
夜中に来たのかが気になり、そのまま様子を窺う。


「・・・エルヴィン?寝ているのか?」


いや、寝ていないよ!と飛び起きてナナシを掻き抱きたくなったが、
懸命に我慢して狸寝入りを続行していると、
唇に何か柔らかいものが触れた。

チュッという控えめなリップ音がやけに響き、
エルヴィンは興奮のあまり起き上がりそうになったが、
それも堪えてジッとする。

ナナシはキスをしても反応が無いので、
エルヴィンが眠っていると思ったのか、
また何度も唇を重ねてきてエルヴィンの興奮が増した。




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