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Dearest〜最愛の君へ〜

第12章 夜に咲く真実






ーーー・・・



「ミオ!!」


神社の入口で、綺麗な水色の浴衣を纏った少女が振り返る。
小さなピンク色の髪飾りが、結い上げられた髪と共に揺れる。

大きな瞳が、久しぶりに自分を映す。


会いたかった・・・ーーー


「及川さん、来てくれたんですね」

にこりと微笑むミオ。薄く化粧をしたその顔に笑顔が際立つ。

綺麗だ、と素直に思う。
すれ違うどんな女性の中でも、一番ミオが美しいと思った。


「ごめん、遅れて」

「いえ、花火の上がる時間に、間に合って良かったです」


息を切らす及川に、はい、と水を差し出すミオ。
それを受け取りながら、及川は口端を釣り上げた。

「いつもと逆だね」

この役目は、いつだって自分の役割だったのに・・・

「たまにはいいんですよ。それにもう私、潰れませんからっ」


いつものように少し怒ったように、
照れたように、頬を赤らめるミオ。

久々な、この感じ・・・
いつも一緒にいたのにな・・・


(最後なんて・・・思いたくないな・・・)


なんて思いながら、及川とミオは2人で並んで歩き出す。

途中、出店が並ぶとおりで軽くつまめるものを買いながら、ぶらぶらと歩くと、ミオは及川の服の裾を掴んだ。


「こっちです」

「ん?」

「とっておきの場所が、あるんです・・・」



そうしてミオに手を引かれるまま・・・
暫く歩く。結構、歩く・・・。


やってきたのは、人混みから遠ざかった原っぱ。

自分たち以外に人のいないそこは、まるで秘密の場所のようだった。


「ここは・・・」

「ふふ。ここは、私たち双子の・・・遊び場だったんです」

ミオは微笑む。

「私がまだ、体が弱かった頃、外へ出たい・・・そう泣いてリオにお願いしたら、リオはここへ連れてきてくれたんです」


懐かしむように、目を細めるミオ・・・
風で揺れる髪が、横顔が、美しかった・・・



"ここならだれにもみつかんないよ!ふたりのひみつのばしょにしよう!"


そう言って陽だまりの世界へ連れ出してくれたリオ・・・。




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