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Dearest〜最愛の君へ〜

第17章 願えるなら私も





ーーー・・・




及川とミオが訪れたのは、のんびりとした街中にあるデイサービスだった。

淡い色がカラフルに使われた壁、優しい色のテーブルに様々な高齢者の方が席につき、談笑したり、居眠りをしたり、何か本を読んだりしている。


「お兄ちゃん、背が高いねぇ、何センチあんだい?」

「184くらいです」

「お兄ちゃん、若いねぇ、何歳だい?」

「22歳です」

「お兄ちゃん、背が高いねぇ、何センチだい?」

「184くらいです」

「お兄ちゃん、若いねぇ、何歳だい?」


・・・・・・・・・


施設に来てからというもの、ずっとこのような会話をして過ごしている。

この施設を利用している人々にとって、及川やミオはとても新鮮で刺激を与えていたが、ほとんど同じような質問に答えてばかりで、及川は苦笑いを隠しきれていなかった。


(御老人みんなかわいいけど・・・っ)



スタッフもほとんどが4.50代くらいの女性で、まぁ、実習生さんはここじゃ新鮮な存在だし仕方ないわよ、頑張ってと言われた。


ちらりとミオを見ると、お茶配りを手伝いながら、なんだかんだ楽しそうに利用者さんと話をしていた。


(何か、似合うな・・・)


スーツから、ここの仕事着に着替えた彼女が利用者と話す姿が何か絵になる。

なるほど、彼女はこういう仕事も、向いているのかもしれないと考えていた。



それからは、お風呂の時間にどんな設備で入浴されているの見学したり、実際に利用者さんの背中を流させてもらったり、

お風呂が終われば折り紙をおったり、レクレーションを手伝ったりと・・・意外にも時間はあっという間に過ぎていった。


そんな日々が、3日ほど経った。


実習4日目、慣れてきた農道を歩き、デイサービスへ到着する。

朝の挨拶、男性利用者さんのお風呂、お昼ご飯、女性利用者さんのお風呂が済み、フロアへ戻ると、
スタッフがテーブルの上に新聞紙を広げて書道の準備を始めていた。


「今日は何をするんですか?」

及川が近くにいたスタッフに、尋ねる。


「今日と明日はね、利用者さんにテーマに沿った習字を書いてもらおうと思うの」

「へぇ〜」

「利用者さんたち、みんな字がお上手なのよ」


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