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Dearest〜最愛の君へ〜

第14章 それぞれの想い





ここで死ぬのか・・・


まさか体育館で死ぬなんて思わなかったな。
でも最後の最後までバレーしてるってのが、なんか暑苦しいけど俺っぽいかな。


リオの迎えはいつ来るんだろう。

後輩たち、絶対これから床ふき死ぬ気でやるなきっと。

国見ちゃん、久しぶりに会えたのにすぐバイバイになっちゃったな・・・ごめん






ミオは・・・・・・

どうしたんだろう、泣いているのかな・・・?

あぁ、泣かせたくなかったなぁ、ミオのこと。

泣き顔も綺麗だけどさ、
やっぱりミオには・・・笑って・・・ーーー






「及川さん!!!!」





え・・・?


「しっかりして、及川さん!!!」


俺を呼ぶ声・・・この温もり・・・




暗闇の中で響く声をたよりに、及川は手を伸ばした。




ミオ・・・?


無我夢中で、手を伸ばす。



すると、パチっと目が覚めた・・・ーーー・・・



まず飛び込んできたのは、白い天井。その隣には薄い色のカーテン。


そして・・・



「及川さん!!」

心配そうに自分をのぞき込むミオの顔だった・・・



「ミオ・・・?なんで・・・・・・」

「気が付いたんですね、及川さん・・・っ」



目覚めたばかりで声が掠れる。


「及川さん、汗で滑って支柱で頭をぶつけたんです」

「そうなんだ・・・言われてみればちょっと痛いかな、頭」

「すぐに救急車で運ばれて・・・ここ、病院です」


ついてきてくれたのか・・・

ミオは心底安堵したように胸をなで下ろした。


そして、


「よかっ・・・たっ」

封を切ったように涙がポロポロと彼女の瞳から溢れる。


「ミオ・・・」


震えた指先を見ると、とても心配してくれていたのがわかる。


「及川、気づいたか」


カーテンを開け、監督とナースがやってくる。


「痛みは、あるか?」

「頭の方に少し。あとは、平気そうです」

「検査したんですけど、脳に以上はありませんでしたね〜。でも、頭打っている以上、暫くは安静になさって下さいね」


柔らかな笑みとともにナースが言った。


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