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イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18

第36章 あんたが望むなら 後編 <徳川家康>




「……お前にとって、今がその時だと?」

「ああ」


―――誰にも……


誰にもあの子を傷付けさせない。


家康が再び刀を構え、手負いの謙信にジリジリと近付いていく。
脇腹への一撃は、綺麗に入ったものの、然程深くはない。


(決定打が必要だ。相手はあの上杉謙信なんだから)


家康がもう一撃、と考えていたところで、突然何かが動いた。
一瞬だけ、忍装束が視界に入ると、途端に辺りが煙に包まれる。


「謙信様に傷を負わせるなんて、流石は徳川家康公。けど、この人は大事な人なんで、この場は失礼させてもらいます。」

「軒猿か……!」

「佐助!俺はまだ……っ」

「言っておきますけど、勝手な単独行動に信玄様カンカンですからね。ちなみに俺もです。」

「…………」


聞き知った声音。
煙の中、は佐助と一度だけ目が合った気がしたが、互いに何も言わなかった。

この世界に来てすぐの時に会ったきり、一度も会えていなかったし、今は何も言わないのが一番良いと悟ったからだ。


煙が消えると、上杉謙信と忍の姿は何処にもなく、地面に突き刺さっていた謙信の愛刀も無くなっていた。
流石は優秀な忍。

そして……


その場には、家康とだけが残されていた。




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