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妖からの贈り物【おそ松さん】

第7章 ※出会いと別れ



……今、何時かも分からなくなった頃、俺はハッと自分を取り戻した。
目の前には動かない廉。それを見て血の気が一気に引いていく。


「っ廉!廉!」

『……っ…すー…』

「寝てる……のか?」


廉の寝息にほっと息を吐く。
良かった、生きてる。


「……」


って、ほっとしてる場合じゃない!!
何やってん…だよ!俺!!
術の影響があったとは言え、これはやり過ぎだ!!

あたふたとする一松は、取り敢えず身体を清めようと廉を抱き上げ、風呂場へ向かう。
また変な気を起こさないように気を付けながら、廉の身体を優しく丁寧に洗う。


「ごめん…廉」


ポツリと呟いたその言葉は、眠っている廉には届かない。

身体を洗い終えた後、適当に選んできた服を着せ、整えた布団に寝かす。
それでもまだ起きない廉が心配になり、そっと手を握る。


「……っごめん」


俺がもっと強ければ、簡単に術が解けていたかもしれない。
廉を傷付ける事も、無かったかもしれない。

ぎゅうと手を握り、俺は謝罪の言葉ばかりを口にする。
しかしそれとは裏腹に、廉に触れられたという喜びが心を締め付ける。


俺は、本当に……ゴミだ。


外で見張りをしている十四松も、もう既にこの事を知ってしまっていることだろう。
俺は殴られる覚悟で廉から手を離し、外に顔を出す。


「十四まっ」


ズガンッ……!!!


「なっ!!?」


突然の目の前の光景に俺は眼を見開く。
光輝く満月を背景に舞い降りる影。その男は俺を認識すると、ニヤリと笑った。


「よぉ…久しぶりだな、兄弟!」

「…悪松っ!!」


黒く不穏な妖力。俺よりも圧倒的に強い力。


「兄さん…っ早く、逃げて!」

「十四松!!?」


下の庭の方へ眼を向けると、そこにはボロボロになった十四松が倒れていた。
くっそ…っ、あの十四松が…


「ククっ、お前らの大事な姫さん、貰いに来てやったぜ」

「……っ!!」


俺は窓枠に足を掛け毛を逆立てる。
俺1人でコイツに勝てる確率はほぼ無い。だけど、時間稼ぎぐらいなら…


「十四松!廉の傍にいろ!!」


俺が、廉を守るんだ!!!

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