• テキストサイズ

戦国源氏物語-イケメン戦国と源氏物語の融合-〈改訂中〉

第7章 若紫の巻―秀吉中将-


  手に摘みていつしかは見ん紫の 由縁(ゆかり)に通う野辺の若草

藤のゆかりの少女を紫と呼ぼう…



やがて、祖母が亡くなり、一人になった少女。

秀吉中将は、京に戻った少女の住む故大納言の屋敷を訪れ、祖母が亡くなる前、いかに少女の事を案じていたか、女房から聞くことになる。

「父宮がいらしたの?」

少女が奥から女房に声を掛けているのが聞こえる。

父宮とは違う秀吉中将の姿を見掛け、からだを強張らせる少女。

「これからは俺を恋しい人と思いなさい。おやおや、そんなに嫌いになってくれるな?」

秀吉中将の優しい笑みに、紫の少女は少し警戒心を解いたようだった。

急激に天気が変わり、激しい風が吹くようになった。

おんなだけの屋敷で少女を含め皆が心細そうにしているのがわかり、秀吉中将は『俺が宿直(とのい)をするから安心しなさい』と声を掛ける。

少女と御帳台(みちょうだい)に入り、少女を秀吉中将は慰める。

女房が二人で御帳台に入ることを抵抗するが、こんな少女に何かするはずない。

秀吉中将は自分の邸に来るよう、少女の気に入るような事を話し、興味を惹き付け、父宮に引き取られるよりずっと幸せだという事をそめそめと語り掛ける。

「俺の屋敷に来ると良い。面白い絵もあるし、好きなら雛人形の用意もさせよう。
ここにいるよりずっと楽しみがたくさんあるぞ。
寂しくないし、姫をいじめる人もいないから、毎日楽しく過ごせるぞ」

少女を惹きつけそうなものの言葉を並べて、少女は目を輝かせていた。
/ 582ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp