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一泊二日温泉旅行に行ってみた【実l況l者/全l身l組】

第12章 pm 7:03


高鳴る胸を抑えて、通話ボタンを押す

「…もしもし?」

「あ…もう家?」

「うん…さっき着いたよ。」

「そっか。
あのさ…俺、ちゃんと言っておきたいことがあって…。」

トクンと一つ脈打つ心臓
甘い予感に体が熱くなる

あの二文字を期待して

「…待ってたよ……聞きたい…。」

「…それって…期待、してもいいってこと?」

「うん…して、いいよ…?」

今までとはどこか違うドキドキ
うまく話せなくて、私の方が緊張してしまって、手が少し震える

少しの沈黙
携帯の向こうから呼吸を整える音が聞こえて

「俺の気持ち、聞いて…?」

「うん…。」

目を閉じて
息を止めて

静かに
待つ


「…初めて会った時から、
ずっと……
好き、です…。」


好き…

やっと…聞けた…

染み入るように溶けていく言葉
思わず涙腺が緩む

ずっと聞きたかった
本当は待ってた

不安な気持ちがスッと消えていく

たった一言で


目を開けると流れる涙は暖かくて
思い知る


あぁそっか、私

本当は恋してたんだ

ようやくわかった

今なら言える


「…っ…私も……好き…っ!」


思わず駆け出した足
声は繋がったまま
お互いから走って乱れた呼吸音が届く


片道切符の行き先は彼の隣
私の旅は始まったばかりだ



END
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