第14章 ☆Story12☆ 気になること
_ゆりの部屋
『おかえりゆりちゃん!
大分踊ってたの?』
ドアを開けるなりユウが玄関先でお出迎え。とてとてとゆりのところに歩いてきた。
「まぁね。ユウ、お腹空いてる?」
『うん!空きまくりだよ!』
「私、今日は早めにお風呂は入りたいんだ。足のマッサージもしたいし……
どうする?先にご飯食べてる?」
『えぇ……じゃあ僕もお風呂入る!』
「……ぬいぐるみなのに……」
『いいのいいの!じゃあお風呂にレッツゴー!』
ユウはそのままお風呂まで直行。
「もぉ……さて、私も荷物ちゃちゃっと整理してお風呂いこ……」
自室に戻り荷物を机に置くゆり。着替えを手にかかえユウが待つお風呂へ向かった。
_ポチャーン……
「……ふぅ……」
シャワーを軽く浴び浴槽に肩まで浸かるゆり。
ユウは浴槽の中を泳いでいた。
「……。」
(なんか、お風呂入ったら急に藤ヶ谷さんのこと思い出しちゃった……私、幻滅されちゃったのかな……)
今度は鼻の下までお湯に浸かるゆり。
『……ゆりちゃん、ちょっと浮かない顔してるよ?
何かあった?』
ゆりの様子がおかしいと思ったのか、ユウはゆりの元に泳いできた。
「ううん……気にしないで……言うほどのことじゃ、ないから……」
『……現場で、何かあった?』
「っ……」
『あ、そんな感じか……もしかして、藤ヶ谷君絡み?』
「……なんで、わかるの?」
『なんとなく、だよ……それに僕は……』
「……?」
『やっぱ何でもない!これ、神様との約束だから……
話す時が来たら話す、よ……』
「話す時が来たらって……私が、本当に自立したらって……こと?」
『まぁ……』
「……。」
(そういえば、私たちが初めて会った時ユウ……私が、独り立ちするまで喋り続けるって言ってたけ……
そしたら、ユウはただのぬいぐるみに……戻ってしまう……)
ふと気づく現実。ユウとの共同生活に慣れてしまったゆりは
それがずっと続く当たり前なことだと思っていた。
でも、それは永遠に続くわけではないと……