第3章 ☆Story1☆ 人気者は大変
それから数時間、ゆりはセリフ覚えに没頭した。
「ふぅ……これでセリフは全部覚えた……」
(明日は丸一日ドラマの撮影だからなぁ……)
ちなみにゆりが現在出演しているドラマは
『人間狩り』というちょっとホラーチックなもの。
ゆりは人間を狩る悪魔のひとりとして出演している。
「さて、一息ついたしパパ仕込みのレモンティーでもつくろ……」
レモンティーを作りにキッチンに向かうゆり。
レモンティーはよく太輔が作っていたものであり、
ゆりも幼い頃から好んで飲んでいた。
「そいういえば、小さい頃はほんの少ししか飲ませてもらえなかったよなぁ(苦笑)」
_10年前
「パーパ、ゆりもレモンティー飲みたいっ」
「4歳で飲むのはまだ早い。」
「やあやあっ!」
「……。」
太輔は手に持っているマグカップとゆりを交互に見た。
_キラキラキラ~「……。」
(きらきら~宝石みたいなのっ!)
ゆりは目をキラキラさせながらレモンティーを眺めていた。
「……わかったよ。少しだけだぞ?」
「やったぁ!……_ゴクッ!」
太輔からもらい、レモンティーを一口飲むゆり。
「……。」
「美味しいっ!もっと飲m_ヒョイっ「ダメだ。」やぁぁっ!」
もう一口飲もうとしたが、口をつける寸前に太輔から取り上げられた。
「子供のうちからカフェインはダメ。もう少し大きくなったらな。」
「……。」
「……返事は?」
「……やぁ……」
「返事は?」
「っ……はぁいっ!!」
(パパの意地悪……)
_現在
レモンティーを入れ終わったゆりはレモンティーをティーカップに注ぎ、
昨日に作った手作りクッキーを小皿に分けお盆に乗っけて自室に向かった。
_ゆりルーム
お盆をテーブルに置き、ゆりは早速レモンティーを口に運ぶ。
_ゴクッ「……やっぱり、レモンティーは落ち着くなぁ……
ママも、よくパパのレモンティーを飲んでたのかな……。」
『そうだよっ!』
「っ!?」