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あの日の君に 《気象系BL》

第4章 再開


唯一、俺の良く知っている翔くんの表情は、俺に抱かれているときの表情。

初めての時こそ、無我夢中で、翔くんの顔を見る余裕なんてなかったけど
体を重ねていく毎に、翔くんは綺麗になっていった。

痛みだけじゃなく、快感を得られるようになったからだろう。

艶っぽいというか、それこそ花が咲くように美しかった。

乱れる姿が芸術品のようで、その姿を見ているだけで興奮した。

抱いてるのは俺なのに、いつも翔くんに翻弄されてた。

翔くんを抱く度に心奪われていたのに、なんで自分の気持ちに気が付かなかったんだろう…

そして、綺麗になっていく翔くんを見て
なんで翔くんの気持ちに気付いてあげられなかったんだろう。

ほんと、鈍くてごめん…

記憶をなくしてからの翔くんは、以前と同じように俺に話しかけるようになった。

ニノも警戒心が減ったみたいで、何も言ってこない。
まぁ、ふたり上手くいってるからだろうな…良かった。


レギュラー番組の収録日、楽屋でメイクの準備を待っていると楽屋のドアが開いた。

「おはよ、智くん…今日のメイクは智くんがトップなんた?」

「おはよ。そうだよ?そっちは翔くんが先なんだね?」

「うん。松潤、昨日ロケがあったんだって」

「そっか。俺、そろそろ行くね」

椅子から立ち上がり、ドアへ向かおうとしたら

「あ、あの、智くん?」

「なに?」

「ごめんね?俺まだ、智くんのこと思い出せなくて…」

「あぁ、気にしなくていいんだってば。
今のところ仕事には差し支えないし、悪いのは俺だから…」

「え?なんで?智くん、何か知ってるの?」

俺が『忘れて』って言ったからでしょ?
あの日から、翔くんは少しずつ変わっていった。

「ううん、知らないけど…俺のせいだよ。
俺がいつも翔くんに頼ってたから、嫌気が差したんだよきっと…
じゃあ、俺行くね」
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