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【ONE PIECE】 さよなら世界

第9章 それは、不死鳥 (2)


【♂】

 ポポロ島はにとって二度目の上陸となる。初めての上陸がテンポラ島だったのは同情に値するがまぁ仕方ない。ポポロ島はうちの縄張りの中でもかなり治安のいいほうだ。なのでこういうことを考える奴がいる。
「このタイミングでポポロ島。やはりあのお嬢さんはここで降ろすのか」
 静かな医務室。Dr.フウは調剤の手を止めて遠い目をした。
「降ろさねぇよい」
 Dr.フウはニタリと笑う。
「ほほう。さすがこれまでの行きずりのおなごとは違う。オヤジも本気だな」
 たまたま一時的に船に乗せることになった女や子ども。これまでもそういうケースがなかったわけではない。だがオヤジは決まって治安の良さそうな島に降ろしたり、どうしても海賊になりたいという女は傘下の海賊団に引き取らせたりした。それくらい女が自分の前で戦闘し傷つくことが耐え難いらしい。筋金入りのフェミニストだと俺は思う。
「よかったなマルコ」
 冗談じゃない。海上生活どころかこの世界すら初めての異邦人には教えることが多すぎる。でももう肚は括った。降ろさないなら、がここ白ひげ海賊団でやっていけるようにするまでだ。
「それで? さっきからなにを熱心に調べている? 『餅は餅屋』。ここに専門家がいる」
 そのとき医務室に近づく足音がした。俺はそっと本棚に本を戻す。サッチか。
「あれ? マルコか。おまえほど医務室と縁なさそうな奴がいるとは」
「そっくりそのまま返すよい」
 サッチのことだ。俺がいると知って来たような気がしなくもない。サッチはどさりとソファに腰を下ろし雑談もそこそこに切り出した。
「さて、Dr.フウ。相談だ。ちゃんがこの船に乗って数週間。俺の気のせいでなければ―――」
 サッチは俺に顔を向ける。
「どんどん痩せていく。なんで?」
 Dr.フウは拳を顎に当てた。
「ふむ……船酔いの症状はとっくに治まっている。嘔吐もしていない。下痢の可能性。この世界の食物が彼女の体に受け入れられないのか。ただ、そうなってくるとわしらの手には負えん。あるいは、たんに、これまでの彼女の生活より体力的にきついだけかもしれぬ。するか。身体測定」

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