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【ONE PIECE】 さよなら世界

第8章 それは、不死鳥 (1)


【♀】
 
 マルコを探している。ポポロ島に着いたその日に遊びに行きましょうとナースたちが誘ってくれた。嬉しい。断る理由なんてない。私はどこにも所属していないから当番とかはなかったし、ただもしあてにされていたら悪いと思ってサッチには伝えたら「なんで俺に止める理由があるんだ」みたいな顔をして了承してくれた。これでよし、と思って去ろうとしたところで「あ、マルコにも一応言っておけよ」と声がかかる。
 ということで、私はマルコを探している。どうしていちいちマルコに許可されなきゃいけないの? どうして『の担当=マルコ』みたいになっているの? 最初が同じ部屋だったから? 待って。じゃあなぜそもそも私はマルコの部屋に押し込められたわけ? 船長室のほうが広いし、尋問されたときあそこにはジョズもいたのに。
 腑に落ちない。
 が、極めつけに腑に落ちないのはそもそも地球でも火星でもない異世界にいることなので、細かなことは気にしないようにしよう。そうだ。じゃなきゃ頭おかしくなる。オーケーオーケー。会社だと思えばいいんだ。自分の名前の欄に「会議中」とか「出張」とか「帰宅」とかのマグネットを貼るようにさらりと上司のマルコさんに報告すればいい。
 
 マルコは甲板にいた。ちょうど手合いが終わったところらしく、十人ほどの男が床で伸びていたり、膝に手をついてぜぇぜぇ息をしている。マルコは汗をかいていたが呼吸の乱れはなく、全体的に気怠げな雰囲気はいつものことだが、疲労しているようには見えない。むしろどことなくイキイキとしている。マルコがイキイキとしているのは良いことだと思う。
 もうすこし早ければ闘うマルコを見られたのか。私が船に乗ってからまだ敵襲に遭っていない。テンポラ島ではラクヨウたちが地元の連中とひと騒動したらしいけど、そのとき私は船にいたので見ていない。
 「嬢ちゃんは守り神なのかもしれねぇなぁ」なんて血気盛んな隊員たちが言っていたこともあったけれど、武器を手入れしながら暇だ暇だと辛そうな姿を見ると必ずしも彼らにとって良いことではないのかもしれない。
 マルコがこちらに気付く。
「どうした?」

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