第19章 Ray -レイ-

「…………。

……ねぇ、お父さん。
あのね……。」

「あぁ……。
どこまでも不幸しかない家なんだ!
俺には酒が、必要なんだよ……。」




お父さんは私の声を遮るように叫んで、
まるで逃げるように、
急ぎ足で外へと出て行こうとする。




「1人だけ逃げないで……!!

あなたが!
この家を…私を……!!
ぐちゃぐちゃにしているの!!

私が悪いんじゃない!!
全部、全部、あなたの所為…!!」



そんなお父さんを追いかけて、お母さんが叫ぶ。

-ドンッ!!-

最後の言葉に怒りが再燃したのか、
お父さんはお母さんを再び殴りつけた。



「痛い!痛い!!この能無し!!」

-ドンッ!-

「うるさい!この発狂女!!」

-ドンッ!-

「あなたと結婚した所為で、
私はもう終わりよ!!」


-ドカッ!-

-バシッ!!-


最後の1発で、
お母さんはリビングのソファーに吹き飛ばされた。



「あぁ……。
俺は何も、殴りたくはないんだ……。
でも、殴らせるのは、お前なんだよ……。

頭がおかしい女に、
何を考えているのか分からない、不気味な娘……。

俺の人生は、
お前たちが狂わせて、地に落としたんだ……!!」



-バタンッ!!-