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The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー

第18章 Cooperation -協力-





「……まぁ、よい。
わからないときは、悠がお前の"知"となるだろう。」




神父は私達の方へ歩み寄りながらそう言った



……何故、
そこで私の名前が出てくるの……?



私は困って、ザックの方へと視線を送った。
だが、ザックも、困惑したように私を見つめ返すばかりだった。




「……とにかく私は、
"神の身として、改めて神の目線に立ってみたかった"
ということなのだよ。

このビルは、それを試す庭園のようなものだ。
B7に置かれた人間は、その観察対象に過ぎない。

……まぁ、悠に関しては、
その前提ですらも覆してしまったのだが……な。」



長話をしている神父は、そこで1度言葉に区切りをつけて、
私をチラリと見やる。

それから、薄く笑った。

そして、尚も彼の話は続いていく……




「……そして、試練と裁き与えるには、
天使の手が必要だった。
それは、人を殺めることに抵抗がない者が適任だった。

ダニー、エディ、キャシー……そしてザック、お前だ。」


「…………。」



神父は私から視線を外して、
今度はザックに視線を送る。
ザックと神父は、睨み合うように…
或いは、相手に挑むように……
互いを見つめあっている。


……私は2人が何を思っているかはわからない。


不意に、神父がゆっくりと言葉を紡ぐ。




「…ただ、お前は……
他の者と違っているのかも知れぬ、と思っていたのだがな……。」


「あぁ……?」


少し優しげにも聞こえる神父の声に、
ザックは不服そうな声をあげた。

堪らなくなった私は、1歩2人に歩み寄っては、
声を上げてみせた。




『……神父様。

お言葉ですが、ザックはもう、"殺人鬼"ではありません。
ザックはザックという、1人の人間です。

……天使でも、生贄でも、…道具でも、化物でも……

……もちろん、
殺人鬼でもないんです。』




その言葉にどれだけ価値があるのか、
この言葉で、ザックの心がどれだけ軽くなるのか…

私にはわかりかねない。

けれど、
私は今、不本意にもザックの過去を知ってしまっている。



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