• テキストサイズ

The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー

第17章 Confirmation ー確認ー






『ザック……!?』


慌てて彼に駆け寄ると、
彼の包帯だらけ手には、
うっすらと血が滲んでいる。


…おそらく、
それはザック自身の血液……。


「…くっそ。
何がいんだよ……。」


ザックは不快そうに言って、
浴槽の栓を抜いた。


ーゴポゴポ…ー

ーゴポッ……ー


音を立てながら
濁った水が排出されていく……。

……そんな中、
浴槽の中に残ったのは……。


「……あぁん?」

『……さ、魚……??』


色鮮やかな、小さめの魚だった。
水が排出されきった浴槽の中で、
ビチビチと跳ねている。

1匹が跳ねると、
2匹、3匹……と、また別の魚が跳ねる。


「…マジかよ。

小せぇ魚のくせして歯がギザギザとか、
生意気かよ!!

魚は食うもんで、
こっちが食われるもんじゃねぇんだ!!

……おかげで、
手が血だらけじゃねぇか。」


ええぇ……。
怒る場所そこ……??


ザックは
少しおかしな怒りを魚に叫んで、
踵を返す。

そして、もう一度だけ振り返って、
魚を見下ろして静かに言った。


「この魚、憎たらしい顔してやがんな……。

まぁ、
さっきよりマシだし、
行くか……。」


魚は、水のなくなった浴槽の中で
エラ呼吸を繰り返している。


……きっともう、
長くはない。


じっと魚を見下ろしていると、
ザックの声が響いた。


「おい、悠!
何してんだ、早く行くぞ…!」

『うん、すぐに行く…!!』


私は踵を返して、
急いでザックの後を追った。



/ 373ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp