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The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー

第17章 Confirmation ー確認ー





「……バーカ。」



真っ暗な闇の中……、
耳元で小さく、ザックの笑う声がして、
目元に温かなザックの掌の感触……。



ーチュ…ー


小さくリップ音が聞こえて、
それからほぼ同時に、首筋にチクリ…と
小さな痛みが走った……。


『痛っ……。
 な、何……?』

「さぁな……。」


ザックは愉快そうにくつくつと喉で笑いながら、
私から少し身体を離した。

痛みの走った首筋をさすってみても、
特に変わった様子は無い。


『……何笑ってるの。』

「…いや、
 可愛いなと、思って……。」

『…………はい?』


ザックの放った言の葉に、私は自身の耳を疑った。


「な、何だよ……。
 そう思ったら、悪いかよ……。」


驚いてザックの顔を見上げる私。
予想以上にすぐ近くにある、彼は
照れくさそうに、顔をサッとそらした。


『……いや、なんて、言うか……。
 意外だなって……。

 人のことを"可愛い"って思うんだ……。』

「う、うるせぇな……。
 レイが、教えてくれたんだよ。

 わかんねぇって言ったら、そうなんだって……。」

『……そ、そうなんだ。
 レイは一体ザックに何を吹き込んで……、

 って、レイを早く助けなきゃ……っ‼』


ザックから紡がれた"レイ"という単語に、
私は慌てて、勢いよく立ち上がる。


「お、おう。
 ……そーだな。」


私の様子に一瞬驚いていたザックも、
そう呟いて立ち上がった。



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