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The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー

第17章 Confirmation ー確認ー





私は不安になって……
セバスチャンの、黒い燕尾服の裾を掴んだ。


「……?
 お嬢様……?」


くんっ……と、後ろに引かれ、
セバスチャンは私を振り返って、
不思議そうに小首を傾げた。


『……セバスチャン。
 ……ちゃんと、帰ってくるよね……?』


ドクドクと、
心臓が忙しなく脈打つ。

それも、五月蝿いくらいの速さで……。

そんな私の心情を見透かしたのか……、
セバスチャンは穏やかに微笑んで、
それからこう言った。


「……お嬢様。
 私は必ず……、お嬢様の元へ戻ります。

 私は、貴女の執事です。
 執事が帰るのは、主人のお側ですよ。

 貴女が、

 目覚めることのない、
 深い深い眠りにつくまで……。

 私の帰る場所は、"貴女"ですよ。
 お嬢様……。

 ……ですから、
 あまり気に病まないでください。」


セバスチャンは、
小さな子供でもあやすかのように……。

極めて優しく、穏やかな声音と口調でそう言った。

セバスチャンの手が、
優しく私の頭を…、頬を、撫でていく。


セバスチャンの体温が、
その手の、確かな温もりが……、

私の、
どうしようもない不安に駆られ、怯えていた心を
優しく落ち着かせてくれた。



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