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The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー

第12章 Master and servant ー主従ー





「……それでは、歩けませんね……。
 では、失礼致し……」

「待てよ‼」


私の足が撃たれていたのを見たセバスチャンが、
私を抱き抱えようとする。

それを、何故かザックが叫んで止めた。


「……悠は、
 俺が連れていく。」

ザックはズンズンと
こちらに迫力のある歩き方をして、歩み寄ってきたかと思うと、
そう言って、私を抱き上げた。


『え……。
 な、なんでザックが……?』

「うるせぇ。
 怪我人なんだろ。

 ……お前は、黙って俺に抱かれてろよ。」


ぶっきらぼうで、
冷たくも聞こえてしまうようなその言葉は、
何故か優しくて、温かかった……。

そこで私は、
ふと1つの疑問にぶつかってしまった……。


『……あれ?
 ザックも"怪我人"でしょ?

 いくら応急処置したとはいえ……、
 自分のお腹、斬っちゃったんだよ……?』

「…………う、うるせぇな。」

『…………自分の分が悪くなってきたら、
 "五月蝿い"で片付ける癖、良くないと思うよ?』

「……っ〜‼
 うるせぇっ‼」

『ほら、また〜……。』

「……でも、
 今は悠の方が酷いのは事実……。」


私とザックのやり取りに、レイの声が割って入った。



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