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The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー

第12章 Master and servant ー主従ー





『……レイ。
 いけないよ。

 それを仕舞うんだ。』

「……!?」


動いていたレイを窘めると、
レイが微かに震えて、
驚いたように私を見上げた。


ザックの軽い治療が、ある程度終わった後……。

私は気配を消していたセバスチャンに向かって、
ようやく口を開いた。



『……セバスチャン。

 ……殺れ。』


低く唸るように言うと、
セバスチャンは薄く笑って言った。


「……Yes, my load.」


ーヒュッ‼ー

ーブツッ‼ー


「……ああああぁぁぁ……‼

 何なのよ、これはぁっ‼

 ……ようやく本性を出してきたわね、
 セバスチャン……‼

 あなた……やっぱり。
 ただの"罪人"じゃなかったわねぇ‼」


狂ったように笑い出す彼女は、
右手首から先を、セバスチャンに切り落とされたらしい。


……一体何がそんなに可笑しいのか……。


「ねぇ、セバスチャン。
 私、あなたを断罪してあげる……。

 いや、断罪してやる……‼

 その涼しい顔の下の悪魔を、
 私が断罪してやる……‼」


女性は、鋭い視線をセバスチャンに向けながら叫ぶ。


『……セバスチャン。
 いつも言っているでしょう?

 せめて苦しまないように、
 一瞬で殺してあげなさいって。』


私はゆっくりと立ち上がって、
手枷の鍵を、ピッキングで外した。

暴れた所為か、
両手首に擦れたような痣が残ってしまっている。


「……ああ…。
 悠、あなたもなのね……‼

 この悪魔‼
 この売女っ‼」

「……うるせぇよ…____」


私を見上げて、唾液を撒き散らしながら叫ぶ女性。

……と、その時、
誰かが小さく、息を吐くかのように
声を洩らしたのが確認できた。


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