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The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー

第12章 Master and servant ー主従ー






「正解よ、レイチェル‼
 そしてなんと、この部屋の鍵は、
 それぞれ置いてある注射器を打てば、
 開きまぁす‼

 ……簡単でしょ?」

「……注射器には、何の薬が入っているの……?」


キャシーの、そんな下品な笑いの混じった声に、
レイ様がそう訊ねた。

更にキャシーは続ける。


「ふふ。
 教えてあげるわ、レイチェル。

 片方はビタミン剤で、もう片方は危ないお薬……。

 危ない方は、強〜いお薬だから、
 悪夢にうなされ苦しんで……

 そのまま目覚めないかも?」


キャシーは、真っ赤なルージュで着飾った唇に指を当て、
意地悪な口調で言いながら、ウインクを飛ばした。


……本当に、彼女は面白いことを考える。

性格はともかく、
人の心理を揺さぶる仕掛けを作るのが得意なようですね……。

……ですが、
お2人に何かがあれば、きっとお嬢様が悲しみますね……。


「はぁあ!?
 どっちの注射器だよ‼」

「教えないし、忘れちゃった。

 そもそもね、この部屋はどちらかが当たりで、
 どちらかがハズレだったの。

 運が良ければビタミン剤。
 悪ければ危ないお薬……。
 ……運試しだったのよ?

 でもあなた達、2人なんだもの…………。」


アイザック=フォスターの不服そうな叫びに、
楽しそうに笑みを含んだ声で言うキャシー……。



本当に……、
"魂"が腐っていますね……。

魂が爛れた臭いがします……。


自らを、"選ばれた"、"断罪人"等と世迷言を言って……。


本当に浅ましく、愚かしい……____



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