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【おそ松さん】とあるタヌキの事情

第5章 団欒中につき襲撃禁止


ボフンッ!

『いちも小さいほうがいいの?』

「膝にのせやすいから…」

いちは私を抱き上げ膝にのせると頭を撫でた後、尻尾をブラッシングしだす。

「うん…毛並みもいいし、このモフっと感がいいね」

尻尾は敏感だけども、いちのテクニックかな…気持ち良くてウトウトしてくる。

「あ~…たまにはいいよね、こうやってのんびり過ごすのってさ♪」

「おれさ…ちょっとタヌキの生態を調べてみたんだよね…本来は臆病で警戒心が強くて人に懐くなんて滅多にないんだって、人前に出てくるのも稀だから懐かせるには根気がいるって、でも懐いたらめちゃくちゃ懐くらしいよ…」

「そんな事も知らないで…あのバカ松兄さんは怯えさせるとか本当バカだよね!?」

「タキちゃんはメッチャなついてますなぁ!」

「うん…この子は存在が奇蹟みたいなもんだからね…昔ばなしとか伝承では人に化けるタヌキの話はよく出てくる」

「へぇ~、それってタキちゃんの先祖だったりしてね♪」

「そうかもね…ちなみにそういう化ける類いの動物は他にもいるみたいだけど、妖怪とかアヤカシとか呼ばれるまぼろしみたいな存在らしい」

「アハハ♪彼女はまぼろしじゃないよね~、だってここでこんなに寛いでるもん♪」

「うんうん!実際いるしねー!」

「まぁ…ここでこうしてるのだって奇蹟なんだけどね…」

トド達の何気ない会話を聞きながら微睡む。
いちは肉きゅうもマッサージしてくれるし気持ちいい。
今日は天気も良いし外で日向ぼっこしたら気持ちいいだろうなぁ…何気に窓を見ると鳥が二羽とまってる…。
ピクリッ…耳を澄ますと微かに鳥達の話声が聞こえる…世間話してるみたいだけどよく聞こえない…。
ボフンッ!!窓に近付いてコンコン叩くと窓を開ける…気が付いた鳥は逃げる事なく差し出した私の手に止まり話かけてくる。

《あら?こんにちはケモノのお嬢さん、私達に何か用かしら?》

『今言ってた事本当?』

《こんにちは、そうだよ、なんか物騒な車がこっちに向かってるからね、巻き込まれたら大変だから離れないとね、君も早く離れたほうがいい》

『そう、ありがとう鳥さん達…』

飛んでいった鳥を見ながらトドに聞く。

『トド…今日はお客さんが来る予定あるの?』

「えっ?どうしたの?タキちゃん?そんな話聞いてないよ?兄さん達は聞いてる?」
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