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【跡部】All′s fair in Love&War

第37章 (閑話)戦いを挑むその前に




梅雨の長雨が続いて、七月なのに少し肌寒い今日。漸く、期末考査の点数が出揃った。いつも通り、英語以外は可もなく不可もなく、と言った所だ。赤点もないし、部活には影響無さそうだ、とほっとする。


所属するテニス部では、文武両道を掲げており、小テストに至るまで点数の付くものは全て申告が必要だ。部員が多いから隠しようもない。そして、赤点があれば再試に受かるまで部活停止となる。

私が3年生になってからの正レギュラーは割と仲が良くて、テスト前には勉強会を開く事もあり、今回もギリギリながら全員が赤点を免れていた。しかし、下が居れば勿論上もいる。跡部と茉奈莉ちゃんは、ほぼほぼ全ての教科において満点に近い点数を収めていた。


可もなく不可もなく、の私は貶される事こそ無いものの、褒められる事も無い。英語だけ見ればまぁまぁかもしれないが、それにしたって跡部には及ばない。恐らく本気でやればもう少しマシな点数を取れるのかもしれないけれど、勉強にそこまでの熱意は持てずにここまで来ている。



「…あとべや茉奈莉ちゃんと比べるのがそもそも間違ってるんだよね」


そう独りごちてみたって、違和感は消えないまま。跡部が好きだ、なんて言ってみたって、自分が隣に並ぶに相応しい、とは思えない。跡部だって、茉奈莉ちゃんだって、天才なんかじゃない。ちゃんと努力しているのだと、いつも一緒にいるのだから知っている。

キング、なんて言われているけど、全くその呼び名に恥じない。そんなあいつの隣に立つのは、私みたいな怠惰な奴じゃなくて、例えば茉奈莉ちゃんのような――そこまで考えて、何故か跡部のことを毛嫌いしている茉奈莉ちゃんに怒られちゃうな、と思考を止めた。


肌寒いのに、じっとりとしていて全く気持ち悪い。今は跡部に脅され――頼まれて、音楽教諭室まで書類を取りに行く所だった。部活の時間外までマネージャー業務、だなんて部長の職権乱用じゃないの?


そしてふと、真正面の掲示板が目に付いた。普段なら気にも止めないのに、何故だろう。恐らく、早く戻れよ、なんて偉そうな物言いのあいつに反抗したかったのだ。


「…留学、奨学制度試験?」



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