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【跡部】All′s fair in Love&War

第33章 おわりのそのまえに(後編)




「守河」


まだひくひくと痙攣する守河の身体をくるり、と反転させて、シーツに横たえる。じんわりと張った涙の膜が、きらきらと輝いていて、そんなの反則だ、なんて思う。


「守河の事が、女の子の中…や、世界で一番、好き、だよ」


言い終わると同時にぽたり、と。俺の目から離れた雫が、守河の頬を伝って落ちた。泣いてしまった自分に驚いていると、守河の手が俺の頬に触れる。じんわりと触れた体温が熱くて、また泣けてくる。

少し気恥ずかしくなって、それを隠すように、奥まで収めてある自身をゆらゆらと動かす。


「あ、あっ…!!」
「奥、好きだよねー、守河は」


初めて、の時からもう何度身体を重ねたかわからない。どちらから誘った事もあったけれど、守河も俺と同じく、断られたらどうしよう、なんてびくびくとしていたのかな。そう考えるだけで、可愛くて仕方がない。想像の中でまで可愛いなんて、何なんだろう、この子。


「や、や、ジロちゃんっ…だ、め、」
「ダメじゃないって知ってるもーん!」


守河は、そう言って笑う俺を少し睨みながら。また小さくやだ、と言って、それから身をぶるり、と震わせた。俺が動きを止めると、はぁはぁと肩で息をしている。漸く呼吸が整ったようで、俺の方を見つめる守河の瞳には、少しの翳りが見て取れた。


「あの、ね…ジロちゃんは、私の何処が好きなの」
「…え?」
「だって、今までそんな素振り、見せなかったでしょ?」


えー、と思わず頭を抱えたくなる。そんな素振りも何も、そんな素振りしかしていないつもりだったのに?大事にしすぎたのかな、なんて少し反省しながら、またゆるゆると動き出す。


「そうだなー、色々あるんだけど、やっぱり顔っ」
「えっ…か、かお?ちょ、ん、あっ…!!」


動きに合わせてまた甘い声を上げる、その顔も大好き。すぐに自分が逝ってしまわないよう、浅いところでゆっくり動く。


「うん、今のその顔も好きだ、し。さっきの泣いてる顔も好きだよ、あと、練習中にふざけてる岳人と俺を叱る顔も好き、忍足の軽口にキレてる顔も好き」


守河のただでさえ熱っぽかった顔が、みるみるうちに赤らんでいく。明らかに照れた表情、その顔、初めて見た!

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