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【跡部】All′s fair in Love&War

第29章 はじまりのつづき(中編)




ミカエルの言葉の意味が分かった気がして、目を閉じると、彼もそこで話を終えた。松元は未だ子供で、『女』では無いのだ、と言いたいのだろう、と。そしてそれは俺自身にも向けられていると、薄々感じ取っていた。


「そう言えば、松元様は何処か、ジロー様に似てらっしゃいますね」
「…あぁ?そうか?」
「えぇ、ぼっちゃまはご自分をお隠しになるのが上手ですから…あのように素直な方と仲良くされるのは、とても良い事だと私は思います」


柔らかく微笑むミカエルは、間違いなく俺を小さな子供の様に思っているらしく。いつもなら少し腹立たしいそれは、今日は何故か嫌ではなかった。

不思議な温かさに包まれたような心地で、ゆるり、と意識が沈みそうになる。が、しかし。


「――ミカエル、大事な事を言い忘れていた」
「はて、何でしょう」
「頼まれ事をしてくれるか、急ぎじゃねぇ…来週の月曜日迄にだ」


温和な執事の、鋭い目がこちらを向く。内容を伝える前に、彼はかしこまりました、といつものように、何のことも無いように、答えた。

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