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【跡部】All′s fair in Love&War

第28章 はじまりのつづき(前編)





英国から日本に戻って二週間ほど、そして氷帝に入学して一週間足らず。俺は既に、己を取り巻く環境に嫌気が刺していた。ご機嫌取りをしながら、上っ面だけの笑顔を貼り付けた、香水くせぇ女共が周りを彷徨く。それだけならまだしも手を取り、甘えたような甲高い声を上げるのには耐え難かった。

とは言え、それが彼女達に与えられた役割なのだ、とは理解していた。地位ある物には、それなりの役割が伴う。それは俺にも同様だ。これは友達付き合い、なんて生易しいものではなく。この年齢であっても、社交なのだ。

生まれた時からそれを義務付けられているのだろう、彼女達を哀れむ程お人好しでも無い。だからと言って邪険に振り払える程、人でなしでも無い。詰まりは、そこに至るまでの興味すら、持てずにいた――






入学式の朝、説明の冊子やクラス分けの用紙を受け取るため、俺は足早に視聴覚室に向かっていた。寝坊したジローは置いてきたから珍しく1人だが、ギリギリまで待っていたため時間は押していた。テニス部でよくつるむ様になった宍戸や向日も、家が違う方向だった。とは言え、その内また雌猫共に見つかり、取り囲まれるのだろうとは容易に想像できる。


視聴覚室の扉を開けると、注がれる好奇の目。何のことは無い、と気にもせず、所定の手続きを終え、封筒を受け取る。とは言え、もう自分のクラスなら分かっていた…A組だ。入学試験の結果によって文系・理系に分けられ、文系はAから、理系はF以降からだと聞いていた。そしてAとJはその中でも成績優秀者が集められるのだ、と。

跡部くんはA組だよ、とさも特別なことのように先に告げてきた、狸に似た校長の下衆い笑みを思い出す。このクラス分けなんて行事も、茶番でしかない――



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