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【跡部】All′s fair in Love&War

第26章 アンコンディショナル・ラブ(後編)




「跡部と松元、ちゃんと会えたかなっ」
「さーなぁ、岳人。跡部は松元の事となると異常に勘が働くらしいしなぁ、すぐ見つけるんちゃうか」


千花ちゃんが走り去ってから、しばらくして。その後を追うように出ていった跡部を、今日ばかりは誰も茶化したりしなかった。千花ちゃんが、積年の思いを遂げられるチャンスになったらいいのにな、とぼんやり考える。

まだやっぱり応援なんてしたくない、けど――


もう後輩達は先に帰らせて、いつもの元・正レギュラーだけが残った部室。誰も帰ろうとしないのはやはり、千花ちゃんの人徳故だろう、なんて考える。ムカつくけれど、私を含む皆が千花ちゃんと跡部の事を心配して止まない。二人が想いあっているのは明らかで、このままでいいなんて筈がないのだ…談笑しながらも何処か上の空の皆の顔を見渡す――


「…あれ、ジロちゃん?ヒヨって何処にいるんだったっけ」
「え?日吉?…そーいえば、さっきからいない気がするー」


その時、荒々しい音を立てて部室のドアが開かれる。跡部だ――しかしその後に、千花ちゃんの姿はない。そして明らかに怒った様子の跡部に、皆が怪訝な視線を向ける。それを煩わしそうに一瞥した跡部は、つかつかとこちらに向かってきた。


「守河、正レギュラーのコートに松元がいる」
「…何、行けってこと?」


何も返さず、跡部は身を翻し、定位置のソファに腰を下ろす。


「…ちょっと、跡部…!」


問いかけるように名前を呼んでも、跡部は何も言おうとせず、ただきつく目を瞑っている。その姿にイライラしながらも、不安になり、急いで部室を出た。

逸る気持ちを抑えながら、走ってコートへ向かう。慣れ親しんだ道がいつもより長く感じられる。もう日が沈んだ後のコート、そこにあるベンチに、見慣れた背中を見つけ、駆け寄る。


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