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『イケメン戦国』〜生きる〜

第8章 再会


佐助目線

安土城を離れ、城下を歩く。

「まさか、四年も待つことになるとはね…でも、無事で良かった」
呟きながらあの日の事を思い出していた。

…………………………………………………………

あの時、叫びながら駆け寄ったその先には、誰も居なかった、そして、何もなかったかのように、雨は止んだ。

確かになおちゃんの姿を見た筈なのに、少しの痕跡も残さずなおちゃんは消えた。

それから、どうやって帰ったのか?良く覚えていない。

綾さんには、逢えなかったと告げたと思う。

それすらも曖昧で…。

それから研究に明け暮れた。

『ワームホール』

その仮説に行きついてからは、何度も本能寺跡に足を運んだ。

3カ月程に一度、それが現れる前兆がみれる事を掴んだ。

『でも、実際に現れることはそれからなくて、更に何処に行くのかわからなった』

可能性があるとしたら、一年後の同じ日。

それに賭けた。

一年で休学の許可を取り、部屋を引き払ったり色々準備して、一年後のその日、この時代に来た。

でも、そこになおちゃんの姿はなかった。

「もしかしたら…と思ってたけど、四年もズレがあるとは計算違いだったな」

その間に生活基盤を作って、人を探し尚且つこの時代で生きていくために、忍びになった。

結果なってて良かったと思う。

『でなきゃ、見つけられないし逢いにも行けなかった』

なおちゃんは、織田信長を助けた。

その事で、また歴史は大きく変わるだろう。

「まぁ、俺も人のこと言えないけど…」

「おい!」
背後から不意に肩を掴まれ、大きな声で呼ばれる。

「あっ。幸」

「あっ。じゃねーよ。何で店通り過ぎてんだよ」

「…気づかなかった」

「ボケっとしてんじゃねーよ。そろそろ帰るぞ」
幸は店じまいをしながら声をかけてくる。

「わかった」
俺は幸に返事をしながら片付けを手伝う。

『後一つ…伝えなきゃならない。
次はいつ行けるか…』

そのタイミングを考えながら、屋敷への道を歩いた。
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