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『イケメン戦国』〜生きる〜

第1章  〜プロローグ〜


第三者目線

「入るぞ。」

信長は告げるや否や家康の部屋に入る。

「……それ、言ってる意味あるんですか?」

「言わずに入るより良かろう」
不敵な笑みを浮かべるとそう告げる。
褥に寝かされたなおを一度見やる。

「貴様はもう帰れ。」

「はぁ?」

「これ以上する事もないと聞いたが…」

『確かに様子を見て、手拭い替えるくらいしかないけど……』
家康は心の中で呟く。
「…誰が見るんですか?この人。」

「俺が見る。」

「はぁ……話は聞いたんですか?」

「全て聞いた。秀吉が俺に無駄な隠し事はしまい。」

「……分かりました。」
信長が告げる事は決定事項。
何を言っても覆らないのは、長い付き合いで良く分かっている。
家康は、手拭いを替えることなど必要事項と、何かあれば御殿に使いを寄越して欲しいことを告げると、部屋を後にした。

………………………………………………………………………

信長は、荒く苦しげな息を吐くなおを見る。
自然と手が頰に触れる。
胸から何かが込み上げてくるが、それが何なのか分からない。
手が触れている事がいけないことの様な気がして、手を離す。

「……やはり此奴は面白い。俺に分からぬ何かを……。」


ふと、頭の上に置いてある不可思議な袋に目を止める。
「これが此奴の持ち物か?」

信長はそれに手をかけると、中身を無造作に取り出す。
ふかふかした何かの動物の様なもの。
四角い硬いもの。
手拭いらしきもの。
色々な物があるが、それが何なのか?
どれ1つ分からない。

「これは書簡か?」
信長は薄い冊子の様な物を取り上げ、ペラペラとめくっていく。

「…この様な紙は見たことがない。」
中の文字を眺めても、角ばっていて読めず
「墨ではないが、書いたのは此奴か?」

最後までめくるとそこにはなおを模した絵の様な物がある。
「こんなに鮮やかに描く技術など知らぬな…。」

呟きながら何枚かある絵を眺めていく。
後ろに描かれた場所も、今と違う。
最後の絵を見たとき手が止まる。





そこには、輝く様な微笑みを浮かべるなおとその肩に手を置き微笑む男の姿があった。

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