第19章 繋がる想い
なお目線
「…恥ずかしい」
「ふっ。何を今更…昨日貴様の全てを暴いただろう」
あれから、朝風呂に入ると言う信長様に、半ば強引に湯殿へと連れてこられた。
湯着は着ているけど、水に濡れて透けるそれは心許なくて、更に信長様に背後から抱き締められているこの状態に、嬉しい反面…恥ずかしさは消えなかった。
「…お前の身体は綺麗だ…もう、誰の目にも触れさせん」
そっと肩口に唇があたる。
「つっ…」
「ふっ…感じたか?」
その言葉に益々頰が紅くなる。
それを楽しむように、首筋が強く吸われ微かな痛みを感じる。
「…信長様…痛いです」
少しむくれて告げても、不敵な笑みを向けられる。
「そろそろ上がるか」
何もなかった様に、私を横抱きにすると湯から上がる。
「自分で歩けます!」
訴えても聞いてくれない。
それどころか、嬉しそうな顔をするから、それ以上何も言えなくなる。
「信長様はズルいです」
「何がだ」
「私だけ…恥ずかしくて、ドキドキして…」
そう言うと、信長様は私を床にそっと降ろし立たせてくれると、優しく抱き締めてくれる。
「貴様だけではない」
小さく呟くと、その胸に私の頭を押しつける様に抱き締めた。
「あっ…」
押し付けられた胸から、ドクドクと規則的で早い鼓動が耳に届く。
「うれしい…」
私は信長様の腰に手をまわすと、顔を見上げて笑った。
チュッと掠めるようなキスが降ってくる。
「昨日は…無理をさせた…。
俺を受け入れてくれて嬉しかった。
お前に拒絶されるのが怖かった。
こんなに胸が締め付けられるのは、貴様の事を考える時だけだ…。
愛してる。なお」
信長様は、私を見つめ言葉を紡いでくれる。
「…無理なんか…
こんな私を好きになってくれてありがとうございます。
私もどんな信長様でも、愛してます」
私も真剣に言葉を紡いだ。
信長様は優しく、甘いキスをくれる。
「さあ、皆が心配しておる。着替えて朝餉に行くぞ。
くくっ。着替えさせてやるか?」
「もう!自分で着替えられます!」
私は用意された着替えを持って御簾の裏へ隠れる。
「ふっ。残念だ」
信長様は笑いながら着替えている。
「行くぞ」
着替え終わると、信長様は私の手を握り、一緒に広間へと向かった。