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Story〜君の隣で同じ景色を見る〜

第21章 ep21 交差





ーーー・・・





「ご飯おかわりいる人ー?」



「りこさーん、お願いしゃっす!」



「はいはーいっ」





全員で食堂にまとまって座り、出された料理を食す。高校合宿ではあるあるな光景だ。

毎年行っているこの合宿だったが、今回はなんだか新鮮味がある。




(りこさんいるだけでこんなに場が華やかになる・・・っ)




普段男所帯の自分にとって、りこの存在は花のようだと矢巾は思った。


美人で、気遣いもできる。よく笑ってくれるし、疲れた時に見ると、本当に癒される。



(女の子の力ってすげー)






「矢巾っちエビフライ食わないの〜?なら食っちゃうかんね」


「だーっ及川さん!それ最後に食おうとしてたヤツっす!」


「及川、後輩のおかずとんじゃねぇ」






矢巾の色目のある視線を察して及川がちょっかいをかけ、それを制する岩泉。そのやり取りにチームが和んだ。








ーーー・・・







「花巻くん、これ」



セミナーハウスにて、みんなで合宿中の布団を敷いている及川の所にりこがやって来た。



「?」





首を傾げる花巻に差し出したのは、1枚のDVD-ROM。

《合宿1日目》と書かれたそれを受け取る。




「今日のビデオ、それと今日のスパイク、ブロックの決定本数とミスの本数。データ取っといたから、見たい子がいるなら、見てね。これ、私のDVDプレーヤー、貸してあげる」


DVDプレーヤーとデータをまとめた紙を続いて渡すりこ。



「おまっ、こんなんいつの間にやってたんだ?すげーな」


「折角合宿に来てるんだし、上に行くみんなの役に少しでも立ちたいからね。こんな事しか出来ないけど、まだまだやって欲しいことがあれば、言ってね!」



花巻は目を見開いて、りこを見た。






(くそ・・・及川が惚れる理由がわかる)







ーーー・・・







部員が全員風呂に入った後、洗濯物を一年生にも手伝ってもらい一通り回し終えると、りこはやっと風呂に入れた。


(ちょっと今日の4セット目、観てみようかな。何かみんな調子悪い試合だったし、改善点あれば・・・)
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