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【イケメン王宮】氷の魔法にかけられて

第4章 *目覚めの時と暗闇*




バァァァァァン!


鍵のかかったていた扉を蹴破ると、ベッドの上で男が下にいる誰かに覆いかぶさり、キスをしている。キスをされているのが誰かは見えなかっが、それでも分かる。あれはユイだ。


そして、その男がゆっくりこちらを振り返る。


それは、リアム王子その人だった。


服が気崩れている様子はなく、怯える様子もなく、ゆらゆらと立ち上がり、静かに笑った。


「随分と遅かったですね。貴方が来るだろうと着替えて待っていたのに…ご令嬢とのお話はさぞ楽しかったでしょう。私も、ユイと楽しい時間を過ごさせていただきました」



「…っ!お前!!!」


今まだに感じたことのない怒りがわきあがり、思わず持っていた短剣で切りかかる。
だが寸前で思いとどまった。

「刺さないのですか…?この状況下なら後で正当防衛といっておけばどうにでもなるでしょうに…お優しい方ですね」


「……っ…」


本当は刺してやりたい。でもこんなことをしてもユイの為にはならないと分かっていた。


(今は…今はだめだ…城に戻ってから真っ当な罰を与えればいい…だから今は堪えろ…)


―――バタンッ……


俺がどうにか自分を抑え込もうとしている時、急にリアム王子がその場に倒れこんだ。荒い呼吸を繰り返し、苦しそうにしている。


(まさかこいつ俺が来るのを分かっていて自分に毒でも盛ったのか…!?)


そう思ったのも束の間、それまで後ろにいるはずのユイを遮るように立っていたリアム王子が視界から外れたことで、俺の目にユイの姿が映された。


「…………………っ!」



俺は言葉を失った。



愛する人の一矢纏わぬ姿
傷だらけの体



意識を失い、横たわるその姿はあまりにも痛々しかった。


「ユイ…!」


先ほどのことも忘れ、急いでベッドの側まで駆け寄り、自分が羽織っていた上着をユイの体に覆うように被せる。


その時、沢山の馬の足音が聞こえた。




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