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イケメン革命 アリスの恋 短編集

第1章 はじめて <フェンリル>


フェンリルとお互いの気持ちを確かめ合ってから、1日目の朝。

 いつもは普通におはようって言えるのに、今日はなんだかお互い変に緊張してしまって、目も合わせられなかった。

気持ちを確かめ合う前は、ふたりっきりになって、一緒にいたいってあんなに強く願ったのに、いざ、両思いになれると、意識しすぎてしまって、なんだか気まずい。
 
フェンリルはフェンリルで、レイとずっと一緒にいて、間に入ることもできない。
 
レイと一緒にいるのはいつものことなんだけど、今日ばっかりはそれが目に見えてしまう。
 
あーあ、せっかくフェンリルの気持ちもわかって、恋人同士になれたのに、なんだか心はついてきてない。
つい、大きいため息がでてしまった。
 
「どうしたの。ミラ。元気ない。」
うしろから急に声が聞こえてきて、体がびくっと反応する。
うしろに洗濯物のかごを抱えて立っていたのはルカだった。
 
「ルカ、洗濯物干すなら手伝うよ。」
ルカがほんのすこしだけにっこりして、ありがとう、と呟くと、わたしに洗濯ばさみとハンガーを渡してくれた。

「それ、持って。こっちは重いから。」
ぶっきらぼうだけど、さりげないルカの優しさになんだかさっきまでのもやもやが少し飛んだ気がした。
 
兵舎の屋上でルカと洗濯物を干していると、セスさんがにこにこしながらやってくる。
      
「アリスちゃんが見えたからきちゃった~
あら、ルカもいたの?」
「…悪い?」
「アリスちゃんとのふたりっきりを逃したな~って。うふふ~」
なんて言いつつも、さりげなく洗濯物を手にとって干してくれるセスさん。
「セス、ちゃんとシワ伸ばして干さないと。」
「あら、ほんと。ルカするどいわね」
「…慣れ。」

ふたりのやりとりを見てると、なんだか心が穏やかになって、さっきまでもやもやしてたのが嘘みたいだった。
黒の軍のみんなはほんとに仲がいいんだなって改めて思い起こされる。
 
「そういえばアリスちゃん、さっきフェンリルが探してたわよ」
「えっ、」
びっくりして、つい持っていた洗濯物を落としてしまう。
急いで拾って砂を払う。
「ミラ、大丈夫?疲れてる?」
        
                                              
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