第6章 放たれた刺客〜カーゴシップ〜
スタイナーside.
村の酒場にて情報収集をした後、この村にカーゴシップがやってくるというところまでは分かった。
後はカーゴシップの到着時刻を、物見山におられる老人が知っているそうで、尋ねるだけなのだが……。
「再度お頼み申す! どうしても城へ連れてゆかねばならぬお方がおられるのだ! カーゴシップは、いつこの村に来るのであるかっ!?」
「わしゃ、忙しいんじゃ」
全く忙しそうには見えないが、目の前の老人はさっきからそれしか言わない。
姫さまを城へ連れてゆくため、事は一刻を争うというのに。
ムカムカと苛立つ自分に気がつき、心を鎮める。
ここで怒鳴ってはならない。
それでは聞き出すのがよりいっそう難しくなるというもの。
グッと堪えるのだ。
そうこうしていると、山の頂上で遠くを眺めていた老人は重い腰を上げ、麓(ふもと)へと続く階段を下りだして慌てて追いかける。