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【うたの☆プリンスさまっ♪】あなたの全てが好きだから

第1章 輝いている彼


 やっと暖かくなり始めたと思ったら、また寒くなる日を繰り返していた3月のある日。晴れ女の賜物か、空には雲一つなく透き通った水色が広がっていた。天気予報でも今日は暖かくなると言っていたけど、やっぱり午前中は羽織物がないと少し肌寒い。
 今日は1年に一度、必ず行くところへ向かう。バレないように、でも気合を入れて服を選んで……気分が高揚していることを悟られないように抑えて家を出た。
 時間よりも少し早く待ち合わせ場所に着くと、いつも行動を共にしている相方はまだ来ていなかった。
 目印である時計台のすぐ近くで、手に持っていたスマートフォンでTwitterを開き、時間になるまで気になる情報を検索して閲覧する。

「桜!」

 待ち合わせ時間になると、少し後ろから自分の名前を呼ばれたので振り返る。

「美雪」

「遅くなってごめんね!」

「ううん。大丈夫だよ」

 膝丈くらいの淡いラベンダー色のワンピースを着た女の子ーー美雪は申し訳なさそうに手を合わせて謝りながら、息を整えている。きっと、ここまで走って来たのだろう。ヒールの靴を履いて、これから出掛けるのに……足が痛くなったら大変だし、そんなに急がなくてもまだ時間はあるのに……。
 
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