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デリバリー【気象系BL】

第9章 戦車


俺とカズくんは10年前にも一度会っていた
流石にその時の事は覚えてないけど
カズくんの記憶の中に俺がいた事が嬉しかった


「コレ…俺?」


スマホのフォルダに保存した、幼少期のカズくんの写真


「“6月生まれのおともだち”だって。
これと同じ物、俺も持ってたのかな」


首から下げられる様になってるくまさんの形のフォトアルバム
風間と同じ物をカズくんも持ってるはずなのに


「多分…捨てられただろうな」


哀しそうに目を伏せた




「俺ね…兄がいたんだ。
あの日…幕張からの帰り道…、」


カズくんが自分の口で
お兄さんが亡くなった時の事を話そうとしてる
膝の上で握りしめてる右手の拳を手のひらでそっと包んだ


「海が見たい、って…」

「海?」

「うん…
兄さんがそう言うから遠回りして…
少しだけならと思って…行ったんだ…
それが間違いだったんだ…!
あの時俺が止めようって言ってれば…あんな…!
あんな事にならなかったのに…!」


突然震えだし取り乱すカズくんを
俺はただ、抱きしめた


「無理に話さなくていいから、」

「俺のせいで兄さんは…!」

「カズくん!」



「俺が…殺したんだ…
兄さんを……殺したんだ…!」
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