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【ヒロアカ】世も縋ら

第6章 体育祭










飼っていた猫が
車に撥ねられたことがあった






『翔…っどうしよう翔!ミーがっ!!』



血だらけのミーを抱えて駆け込んだ先は

当時、幼馴染で毎日の様に遊んでいた



翔の家だった



「落ち着いて神奈」

服を赤くし泣きじゃくる神奈を宥めるよう
優しく神奈を抱き締め
共に服を赤くしてくれた

ミーの口元に手をかざし
呼吸があるかを確かめる翔


「大丈夫。まだ息はある」



この状態を
大丈夫だと言うのは
きっと彼ぐらいのものだろう


「神奈の個性があれば、ミーはまた前みたいに走り回れるよ」



大丈夫だから
自信を持って

頭を撫でながら
彼は私に勇気をくれる



『…やって、みる』


意を決した神奈は
恐る恐るミーに顔を近づける


ほんの半時間

半時間戻すだけ


間違ってもそれ以上は……



当時まだ使い慣れていない大きな力を
その小さな動物に向ける


少しずつ

少しずつ顔を近づけ



あとは
舌先でその毛に触れるだけ


触れるだけなんだ



『ーッ』



思わず目を瞑る


もし失敗したら
もし戻し過ぎてしまえば

大好きなミーが

もう一緒にお散歩も出来なくなる

気儘なミーに振り回されることも

一緒にコタツに入ることも…!






「神奈」



その声に目線を合わせると






「信じて」


最後の勇気が
湧いてくる



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