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イケメン戦国〜天邪鬼と学園生活〜

第9章 動き出す「運命」姫主side





「〜〜〜〜っ!!ばかっ!!」


バチンッ!


「っ、て……!!」


頬をさする家康を無視して、胸を何回も叩く。


「ファーストキスなのに!!ワサビと間違えるなんて!」

「ファーストキスって……昔、したし」

「小さい頃のは、ノーカウントなの!!」



うぅ………。
目頭が熱くなって、視界がぼやける。



「……………泣いてんの?」



くるっ。
背を向けた私の顔に家康の手が伸びてきて、まだ溢れていない涙を拭う。


「だって、家康が、ワサビと……間違えたと……か…言う…から」


「……なら、間違えてなかったら。……いいワケ?」


え?間違えてなかったら?

ゆっくり首を後ろに向ける。


サァッー……
穏やかな風吹きつける。
私の髪がサラサラと流れ、家康の頬を掠めた。


(何で、家康の目元が赤いの……?)


眉を下げて、困った顔してるのに……
赤い目元。いつもなら気まずそうに逸らす瞳が、今日に限って真っ直ぐ伸びていて……


一瞬で涙が引っ込む。



「……ひまりとなら、キスしていいの?」



え……?私となら……

心臓がドキドキを通り越して、バクバク鳴りだして……

きゅんって胸がなって。



(何コレ………)



いつもの家康の意地悪だよね?
何、私……ときめいたりして。



「ま、またそうやって意地悪なこと言って私の反応見て、た、楽しむ気でしょ!そうはいかないんだからっ!」


捲し立てるように喋って立ち上がり、鞄の所まで一気に走る。


私は家康の胸の前に鞄を差し出して、


「………寝惚けてたの許してあげるから、お昼ご飯の寄り道……付き合ってね」


今、自分がどんな顔してる解らない。
顔を上げる勇気がなくて、チラッと視線だけ上に向けると……。


了解。
ふわっと家康が笑う。
滅多に見せない優しい笑顔。


「何で、笑ってるの?」

「………教えない」



「幼馴染」の関係が、ここから大きく変わり始める。
それを私が知るのは、まだまだ当分先。


でも、


「……鞄、持ってあげるから貸して」

「え!良いよ!自分の荷物だし」

「探させたお詫び。借りは嫌だし」



家康の優しさが4割に増えたのは、さすがに解ったかな?


裏庭から出る前。
もう一度、石碑を見る。


やっぱり、懐かしい気がした。

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