第10章 Rey7
7
TRIGGERのライブは凄いものだった。
完全にアイドルを舐めていた気がする。
MCで楽が「お前のために歌うぜ」と言った瞬間の盛り上がりがすごかった。
一体誰のためなのかは知らないけど。
私もいつかこうなるのかな…?想像付かない。
そしてついにIDOLiSH7の活動が解禁された。
…だからってライブ後に路上で歌って踊るのはどうかと思う。
TRIGGERの事務所には怒られるだろうけど、あんな楽しそうな姿を見ていたら止めることなんてできなかった。
『紡さん…謝罪、行くんですよね?』
「あんな事をしてますからね…」
『私も行く?』
本当なら行きたくはない。
だってあの事務所には楽がいるから。
私が小鳥遊事務所の関係者だって知ってるし、会ってしまったら気まずい。
「いいえ、私の仕事なので一人で行きます」
私より年下なのにしっかりしている。
でもいつか潰れてしまわないかと心配もしている。
私も紡さんのサポートが出来ればいいのに。
『無理しないでね』
「はい」
荷物をまとめた紡さんが事務所を出て行く。
そう言えばこのタイミングで新曲の話…してたよね。
様子見に行こうかな。
「っと」
『大和さん…?どうしたのそのスーツ』
廊下に出ると普段見慣れないスーツ姿の大和さんと鉢合わせした。
これからどこかに行くのかな。
「ん…ちょっと時間いいか?」
『聞かなくても時間取らせるでしょ』
「バレたか」
ニッと笑いながら大和さんが答える。
ほんと…この人いろんな表情が出来る…。
『それで?』
「マネージャーと一緒にTRIGGERの事務所に謝罪に行く」
『一人で行くってさっき言ってたけど』
「一人で行かせらんないでしょ」
『そう思って私もって言ったんだけど断られて…』
「零はだーめ。それに俺は一応リーダーだから」
何がダメなんだろう。
ただの事務員だから…?それとも例の件?
『面倒な事嫌いなくせに』
「うん。だからお兄さんにやる気出させて」
……出させて?
ちょっと意味がわからない。
謝罪ってやる気でどうにでもなる話ではないと思う。
『どうやって』
「そうだな…」
大和さんが少し考えて、両腕を前に広げた。
何を考えているんだこの人は…!