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愛される少女【HP】

第82章 闇の印


「エイモス、やめてくれ。まさか本当にしもべ妖精がやったと思っているんじゃないだろう?闇の印は、魔法使いの合図だ。造り出すには杖が必要だ」

「そうなんだ。そして、この屋敷しもべは、杖を持っていたんだ」

「なんだって?」

セドリックのお父さまは杖を持ち上げ、驚いているアーサーさんに見せる。

「ほら、これだ。これを手に持っていた。まずは杖の使用規則第三条の違反だ。人間にあらざる生物は、杖を携帯し、またはこれを使用することを禁ず」

ちょうどそのとき、またバシッと音がして、バグマンがアーサーさんのすぐ脇に姿現しをした。息を切らし、ここがどこかもわからない様子で四方を見回し、目を見開いてエメラルド色の髑髏を見上げる。

「闇の印!いったい、誰の仕業だ?捕まえたのか?バーティ!いったい何をしてるんだ?」

バグマンが喘いで言う。クラウチ氏が手ぶらで戻ってきた。幽霊のように青白い顔のまま、両手も歯ブラシのような口ヒゲも痙攣しているようだ。

「バーティ、いったいどこにいたんだ?どうして、試合に来なかった? 君の屋敷しもべが席を取っていたのに...おっと危ない!」

足元に横たわるウィンキーに気づいたバグマンが言う。

「この屋敷しもべは、いったいどうしたんだ?」

「ルード、私は忙しかったのでね。それと、私のしもべ妖精は、失神術にかかっている」

クラウチ氏は、相変わらずギクシャクした話し方で、ほとんど唇を動かしていなかった。

「失神術?ご同輩たちがやったのかね?しかし、どうしてまた...?」

バグマンの丸い顔に、突如そうか!という輝くような表情が浮かんだ。バグマンは髑髏を見上げ、ウィンキーを見下ろし、それからクラウチを見た。

「まさか!ウィンキーが?闇の印を造った?やり方も知らないだろうに!そもそも杖が必要だろうが!」

「ああ。まさに、持っていたのだ。杖を持った姿で、私が見つけたんだよ、ルード。さて、Mr.クラウチ、あなたにご異議がなければ、屋敷しもべ自身の言い分を聞いてみたいんだが」

クラウチ氏は、セドリックのお父さまの言葉が聞こえたという反応をまったく示さなかった。しかし、その沈黙がクラウチ氏の了解だと取ったようだ。セドリックのお父さまが杖を上げ、ウィンキーに向けて、唱えた。

「"リネルベート(覚醒せよ)"!」

ウィンキーは微かに動いた。

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