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愛される少女【HP】

第81章 森の中


さらには、一番小さな子供のマグルが、首を左右にグラグラさせながら、六十フィート上空で独楽のように回りはじめた。

「最低だ」

ロンが呟いたのが聞こえてくる。

「ほんと、ひどい...」

その声が聞こえたのかハリーとロンが振り向いた。私も後ろを見ると、ハーマイオニーとジニーがいて、そのすぐ後ろからアーサーさんも来た。そのあとに、ビル、チャーリー、パーシーがきちんと服を着て、杖を手に袖を捲くり上げて、男性用テントから現れる。

「私たちは、魔法省の手助けをする。おまえたち...森へ入りなさい。バラバラになるんじゃないぞ。片付いたら迎えに行くから!」

騒ぎの中で、アーサーさんが腕捲くりしながら声を張り上げた。ビル、チャーリー、パーシーは、近づいて来る一団に向かって、もう駆け出している。アーサーさんも、そのあとを急ぐ。魔法省の役人が四方八方から飛び出して来て、騒ぎの現場に向かっている。ロバーツ一家を宙に浮かべた一団が、どんどん近づいて来た。

「さあ」

そう言ったフレッドが、ジニーの手を掴み、森のほうへと引っ張って行く。ハリー、ロン、ハーマイオニーがそれに続いた。

「ユウミ、大丈夫か?」

ジョージが私を見て、心配そうに言う。

『えぇ、大丈夫よ』

森に辿り着くと、全員が振り返った。ロバーツ一家の下に居る群集は、これまでより大きくなっていた。なんとかして中心に居る頭巾を被った一団に近付こうとしている魔法省の役人の姿も見える。役人たちは苦戦しているようだ。

ロバーツ一家が落下してしまうことを恐れて、なんの魔法も使えずにいるみたいである。子供たちが泣き喚いていた。冷んやりとした夜気を伝って、不安げに叫ぶ声、恐怖におののく声が、私達の周囲に響く。そのとき、ロンが痛そうに叫ぶ声が聞こえた。

「どうしたの?」

ハーマイオニーが心配そうに言う。ハリーは、出し抜けに立ち止まったハーマイオニーにぶつかってしまう。私も、立ち止まった。暗くて、ロンの様子もわからない。

「ロン、どこなの?ああ、こんなバカなことやってられないわ"ルーモス(光よ)"!」

ハーマイオニーは杖灯りを点し、その弱い光りを小道に向けた。地面に這いつくばっているロン。

「木の根につまずいた」

ロンが腹立たしげに言いながら立ち上がった。

「まあ、その足の大きさじゃ、無理もない」

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