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愛される少女【HP】

第79章 パフォーマンス


それを変に思ったらしいハーマイオニーがハリーに声をかける。

「ハリー、あなたいったい何してるの?」

それと同時くらいに音楽がやむと、ハリーは目を瞬く。スタジアム中に怒号が飛んでいた。群集は、ヴィーラの退場を望まなかったのだ。

ハリーはぼんやりとなにかを考え、ロンは無意識に自分の帽子のシャムロックをむしっている。アーサーさんが苦笑いしながら、ロンのほうに身を乗り出して、帽子をひったくった。

「きっと、この帽子が必要になるよ。アイルランド側のショーが終わったらね」

「はあー?」

そう言ったロンは、口を開けてヴィーラに見入っている。ヴィーラはもう、グラウンドの片側に整列していた。ハーマイオニーは大きく舌打ちして、ハリーに手を伸ばして、席に引き戻す。

「まったく、もう!」

私はそれを苦笑いして見てた。

「さて、次は。どうぞ、杖を高く掲げてください...アイルランド・ナショナルチームのマスコットに向かって!」

バグマンの声が轟く。次の瞬間、大きな緑と金色の彗星のようなものが、競技場に音を立てて飛び込んで来た。上空を一周し、それから2つにわかれ、少し小さくなった彗星が、それぞれ両端のゴールポストに向かって飛んで行く。突然、二つの光りの玉が結ばれて競技場にまたがる虹の橋がかかった。

「オォォォォーッ」

「アァァァーッ」

観衆は花火を見ているように、歓声をあげる。虹が薄れると、2つの光りの玉は再び合体し、1つになった。今度は輝く巨大なシャムロック('三つ葉のクローバー')を形作り、空高く昇り、スタンドの上空に広がる。すると、そこから金色の雨のようなものが降りはじめた。

「すごい!」

ロンが叫ぶ。シャムロックは頭上に高々と昇り、金貨の大雨を降らせていたのだ。金貨の雨粒が観客の頭や客席に当たっては撥ね返った。

眩しげにシャムロックを見上げた私は、それが顎ヒゲを生やした何千という小さな男たちの集まりだということに気づく。みんな赤いチョッキを着て、手に手に金色か緑色の豆ランプを持っているのだ。

「'レプラコーン'だ!」

群集の割れるような大喝采の中で、アーサーさんが叫ぶ。たくさんの観衆が金貨を拾おうと、椅子の下を探し回り、奪い合っていた。

「ほら。万眼鏡の分だよ!これで、僕にクリスマスプレゼントを買わないといけなくなった、どうだ!」

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