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秘密

第10章 好きのかたち


みちside


前日に突然

亮ちゃんにデートに誘われて


一緒に出かけた場所は


昔二人でよく遊びに来た

海辺で…



人通りが少なく静かなこの場所は

亮ちゃんのお気に入りの場所だった…




「久しぶりだよね…ここ来るの…」



砂浜に座り

ぼんやりと海を眺めながら

そう呟いた言葉に




「そうやな…」



亮ちゃんは海を見つめたまま

短い返事を返す…




そして少しの沈黙の後


亮ちゃんはゆっくりと腕を伸ばし

私の髪を優しく撫でながら




「お前はほんとにこのまま…

俺がええって言うまで

俺の側におるつもりなん…?」




そう私の目をまっすぐに見つめて

問いかける……




「そうだよ……?」



そう迷いなく答えた私に

亮ちゃんは笑顔を浮かべ




「いつまでたってもお前は

あほのまんまやな(笑)」



なんてため息をつく…




「だから言ったでしょ…?

亮ちゃんが笑ってくれるなら

あほでいいって(笑)」




そう言って笑う私のほっぺたを

亮ちゃんは痛いほどにつまんで…




「ひたひよ…りょーひゃん(涙)」


そう涙目で訴えた私に




「お前のあほさ加減にはもううんざりやわ(笑)

やからもうどこでも好きなとこ行け…」




なんてまっすぐに見つめていた

私の目から目をそらしながら言う…





「長い間一緒におったら

お前の嫌なとこばっかり見え過ぎて

もう俺も限界やわ…(笑)


やからもうええ…

お前はお前の好きにしたらええよ…」



顔を背けたまま

笑う亮ちゃんの声は

少し震えていて…



「亮ちゃん…」



そう言って伸ばした手は




「触るな…

もうはよ行けって…」



そんな亮ちゃんの

震える声に制止され



伸ばした手をぎゅっと握りしめて

背中を向け歩き出した瞬間




「ありがとう…みち…」



そう小さく呟いた

亮ちゃんの声が聞こえた…
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